動画のご紹介

「曲がった背骨をまっすぐに…脊柱側彎症に挑む」
整形外科医・江原宗平

YouTube「徳洲会TV」2024/05/02

内容紹介

Scene01. 背骨をまっすぐに、江原医師の信念と挑戦

神奈川県にある湘南藤沢徳洲会病院。
その院長にして、脊椎センター・脊柱側彎症センターのセンター長でもある整形外科医(脊椎外科)が江原宗平だ。江原のもとには、全国から多くの患者が訪れる。それは、彼が脊柱側彎症に対して極めて高い専門性と、豊富な手術経験を有しているからに他ならない。

脊柱側彎症とは、背骨が側方に彎曲かつ、ねじれた3次元に変形した状態のことだ。原因不明のものや病気に伴って発症してくるものもある。江原が行うのは、単に骨を矯正する手術ではない。“カタチ”を整えることで、人生そのものを立て直す。
それが彼の医療に対する信念である。

Scene02. 進行する症状・痛みと、手術に託した希望

今回紹介するのは、江原を頼りに大分県からやってきた、50代の女性患者の症例だ。
思春期に急に身長が伸び、背骨の曲がりが出てきたという。年齢とともに症状が進行し、やがて背中の痛み、呼吸のしづらさなど複合的な不調が現れるようになった。

「この歳になってどんどん進行して、いつも寝ても起きても痛い」

痛みは常に彼女の日常にまとわりつき、ついには仕事を辞める決断に至った。「動くと息切れがしたりして、このままではもう働けないし、体調にも不安がある」と語る彼女。

見た目の変化も大きく、体型を隠すために大きくゆったりした服ばかりを選んできたという。

そんな中、全国の医療機関を調べるうちに江原の存在を知り、来院を決意した。
診察の際、江原から言われた「手術によって、まっすぐに近い形まで持っていけると思う」という言葉を希望に、「退院したら、今まで着られなかったワンピースを着たい」と彼女は語る。その姿には、人生を取り戻したいという強い思いが表れていた。

Scene03. 患者さんのため、正確で安全性の高い手術を

手術当日。手術室にはスタッフとともに、直前まで手術プランを練る江原の姿があった。

人間の脊椎は、頸椎7個・胸椎12個・腰椎5個の計24椎体で構成されている。そのうち今回は、胸椎T4から腰椎L4までの13椎体を対象とした手術となる。

背骨をいったん分解し、チタン製のロッド(棒)を通して可能な限りまっすぐに骨格を再構築する。腰椎から胸椎にかけての広範囲にわたる矯正手術だ。

湘南藤沢徳洲会病院 脊椎センター・脊柱側彎症センターでは、多軸型CT(コンピュータ断層撮影)様画像撮影装置「ARTIS pheno(アーティス・フィノ)」を中心とする、最新のナビゲーションシステムとロボット支援手術装置を導入しており、安全・正確な脊椎手術を行っている。
江原の手術数はこの20年でおよそ5600件。なかでも脊柱側彎症の症例数は全国でも有数とされる。(2024年5月時点)

江原は、大阪大学医学部を卒業後、米国での研修を経験。「これからは医療が定量化される時代が来る」という教授の教えを胸に、日本で初めてナビゲーション手術を導入し、革新的な医療を実現してきた。「もっと上手に、簡単に、さらに効果的にできないのか」という飽くなき向上心が、今の江原を育て上げていった。

手術では脊椎にスクリュー(ねじ)を取り付け、ロッドを挿入し、曲がりの強い部分を慎重に矯正していく。しかし、棒がカーブの強さに負けてしまい、思うようにまっすぐにならない場面も。

「もっとまっすぐにするまでやるぞ。こんなんで引き下がれるか」

納得のいく結果が出るまで、ひたすら調整と再矯正を繰り返す。患者の今後の人生のために妥協はしない。その技術の全てを注いだ手術は7時間にも及んだ。

Scene04. 手術後に広がる新たな日常

手術から2週間後、そこには元気な姿を見せる彼女の姿があった。
「最近はリハビリもはじまって、何とか歩いています」と、やわらかな笑みを浮かべる。

レントゲンでは、手術前と比べて見違えるほどまっすぐになった背骨が確認できた。
「初めて洗面所に立ったときに鏡で肩の高さが一緒だった。あれがもう嬉しくて感動しました」と語る彼女に、江原は笑顔で応じる。

リハビリも順調に進み、彼女は明るく言葉を続けた。
「手術していただいて本当によかった。この体をもっと大切にして、これからは新しい服を着て出かけたい」
今後の目標は、”ワンピースを着て旅行に行くこと”だという。

Scene05. “カタチ”を治すのは“心”にも通じる

「体にぴたっとつくような服が着られて嬉しいという声をいただく。そういう“カタチ”的な問題で悩む方が、それを気にせずに生きられるようになる。それは、心の面でも非常に大切なことだと思います」

江原が信じる“カタチ"の医療とは、脊椎外科手術を通して人の生き方を支えること。多くの患者と向き合う中で、彼は確信を深めてきた。

今日も江原は、患者の背中と、そしてその奥にある“心”と向き合い続けている。

関連リンク